中国の北部を東西に横断する万里の長城。その長さは実に2万km以上とも言われていて、人類史上最大級の建造物です。
しかし、ただの「長い壁」ではありません。そこには国家を守り、人々の暮らしを守ろうとする、さまざまな目的がありました。この記事では、万里の長城が建てられた理由について、わかりやすく解説します。
目次
敵から国を守るための防壁

最も大きな目的は、北方からの侵入を防ぐことです。
特に秦や漢の時代には「匈奴(きょうど)」という騎馬民族が中国の土地を脅かしていました。
そこで高く長い壁を築くことで、敵の侵入を防ぐ「防壁」として機能させました。
長城は国の「境界線」だった

長城は、ただ敵を防ぐだけでなく、中国の支配領域を示す「国境」の役割もありました。
「ここから先は中国」ということを、周辺の民族に伝えることで、国の主権と統治の力を示していたのです。
火や煙で情報を伝える通信網

長城には、「烽火台(ほうかだい)」という見張り台が一定の間隔で設けられていました。
敵の接近を見つけると、火や煙を使って合図を送り、遠く離れた兵士たちにも危機を伝えることができました。
これにより、すばやく軍を動かすことができ、情報伝達の手段としても役立っていました。
皇帝の力を示す「国家の象徴」

万里の長城を築くには、非常に多くの人と長い時間が必要でした。
そのため、巨大な長城は「中国という国家がこれほどの力を持っている」ということを人々に印象づける存在でもありました。
まさに、権力の象徴といえる建築物だったのです。
まとめ
万里の長城は、敵の侵入を防ぐだけの建物ではありません。
防衛、国境の明示、情報の伝達、そして国家の力の象徴という多くの目的を持つ、歴史的にも文化的にも重要な建造物なのです。
この長い壁に込められた意味を知ることで、過去の中国だけでなく、今の私たちの社会の「国を守るあり方」についても考えるきっかけになるでしょう。
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