1970年代から1980年代後半にかけて販売された江崎グリコのふりかけ「知床しぶき」。
北海道・知床の雄大な自然を連想させる名前と、桜田淳子さん出演のテレビCMで多くの家庭の食卓に親しまれました。発売当時は海鮮の旨味を生かした味付けと鮮やかなパッケージが目を引き、子どもから大人まで幅広く支持されました。
本記事では、その誕生背景、味の種類、広告戦略、そして現在の入手方法まで、昭和食品史の一ページとして詳しく解説して行きます!
知床しぶきとは
発売時期とメーカー

「知床しぶき」は江崎グリコが1970年代初頭に発売したふりかけブランドです。当時の家庭では、ふりかけは弁当や朝食の定番で、各メーカーが競って新商品を出していました。そんな中で「知床しぶき」は、北海道の海の幸をテーマにしたユニークな商品として登場。1980年代後半まで販売が続き、約15年以上にわたり多くの家庭で愛されました。
名前の由来
名前の「知床」は北海道の世界自然遺産・知床半島を指し、「しぶき」は海岸線に打ち寄せる波の飛沫から来ています。ネーミングには、北の大地の新鮮さと力強さを連想させる意図が込められ、当時の消費者に強い印象を残しました。昭和期の食品名としては珍しく、地域性と自然のイメージを兼ね備えたブランド名でした。
桜田淳子さん出演CM
放映時期
1970年代半ば、国民的アイドル歌手だった桜田淳子さんを起用したテレビCMが放映されました。当時、桜田さんは歌手としても女優としても人気絶頂期で、その笑顔と元気な声は商品イメージを一気に引き上げました。

CMの内容と反響
CMでは、桜田さんが食卓でご飯に「知床しぶき」をかけるシーンとともに、明るいナレーションが流れました。そのキャッチーなフレーズは子どもたちの間で真似され、学校や家庭で話題になったといいます。テレビが一家に一台の時代に、ゴールデンタイムで繰り返し流れたこのCMは、ふりかけの売り上げを大きく伸ばす原動力となりました。
味のバリエーション
初期ラインナップ

発売当初の味は、海苔、鮭、かつお節をベースとした3種類が中心でした。これらは北海道や日本の食卓に馴染み深く、特に鮭味は「知床」という名前との相性も良く、人気ナンバーワンの座を長く維持しました。
後期の限定フレーバー
1980年代に入ると、消費者の嗜好変化に合わせて、たらこ味や昆布入りなど新しいフレーバーが登場。地域限定販売の商品もあったと言われ、旅行先でしか手に入らないレア感が一部ファンの間で話題になりました。味の幅広さは、飽きずに長く愛される要因の一つでした。
パッケージと広告デザイン
昭和らしいデザイン特徴
パッケージは青や緑を基調に、力強い波しぶきや知床の山々のイラストが描かれていました。昭和の食品らしい、視認性の高い太字フォントも特徴で、スーパーの棚でもひときわ目立ちました。紙袋タイプや小瓶入りなど複数の形態があり、家用と弁当用で使い分ける家庭も多かったようです。企業広告戦略

江崎グリコは「食と楽しさの融合」をテーマにした広告戦略を得意としており、知床しぶきのCMもその一環でした。アイドルの起用は当時としては革新的で、食卓シーンを通じて家族の温かみを演出しました。この戦略は、ふりかけを単なる調味料ではなく、食卓を豊かにする存在として印象づけることに成功しました。
今入手できる?復刻や類似品情報
現存在庫やオークション情報
現在「知床しぶき」は製造されていませんが、未開封パッケージがオークションサイトやコレクター市場で出品されることがあります。価格は状態や希少性によって数千円になる場合もあります。ただし食品としては消費できないため、コレクション目的での購入が前提です。
味が似ている現行商品
「知床しぶき」に近い味を求めるなら、丸美屋やニチフリの鮭・かつお・昆布系ふりかけが候補です。また、一部の北海道土産店では、海鮮系ふりかけとして鮭や昆布を使った商品が販売されており、当時の味を少し感じられるかもしれません。
「知床しぶき」は、昭和の家庭で長く愛された江崎グリコのふりかけブランドです。北海道の自然をモチーフにした力強い名前、桜田淳子さんのCMによる鮮烈な印象、そして多彩な味の展開は、今も人々の記憶に深く刻まれています。製造終了から数十年経った今でも、その存在は懐かしの食品として語り継がれています。昭和レトロブームが続く中、知床しぶきは食文化の歴史を振り返る上で外せない一品です。
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