ストーンヘンジの概要

ストーンヘンジは、イギリス南部のソールズベリー近くにある巨大な石が円形に並んだ遺跡です。世界文化遺産にも登録されており、世界で最も有名な先史時代の遺跡のひとつです。
外側の土塁は約5000年前(紀元前3100年頃)、石の部分は約4500〜4000年前(紀元前2500〜2000年頃)に作られたと考えられています。
直径100mの円形に石が並び、中心には門の形をした石(トリリトン)が5組あり、また夏至の日の出が特定の石の間から見えるように設計されています。
すごいポイントとして
•天文学の知識が使われている
•石と石のつなぎ目に凹凸加工がされていて倒れにくい
•高度な技術と多くの人の力で作られたと考えられている
などがあります。
誰がなぜ建てた?

ストーンヘンジは、およそ5000年前(紀元前3000年ごろ)から長い時間をかけて造られました。これに関わったと考えられているのは
新石器時代の農耕民(ネオリシック・ピープル)
青銅器時代の人々(ベーカー文化など)
これらの人々は、高度な技術や社会構造を持っており、大規模な建設を行うことができたと考えられています。
目的についても確定的なことはわかっていませんが、いくつかの代表的な説があります。
1. 太陽や天体の観測のため
ストーンヘンジは夏至の日の出や冬至の日没と石の配置が一致しており、太陽の動きを観察するカレンダー的な役割があった可能性があります。
2. 宗教的・儀式的な場所
死者の霊をまつる聖地や、祖先を祀る儀式の場だったと考える研究者もいます。
3. 癒しや再生の場
病気を治すための「治療の聖地」であったという説もあり、実際に病気やけがをした骨が周辺で多く見つかっています。
4. 権力の象徴
巨大な石を遠くから運び、精密に配置するには大勢の人々を動員する必要があり、共同体の団結力や支配者の権威を示す象徴だった可能性もあります。
どうやって巨大な石を運んだのか?
1. 丸太を使った転がし説(ローラー方式)
丸太を敷き詰めた上に石を載せ、転がして移動させる方法です。実験考古学で は、1トンの石を数人で転がすことが可能であることが確認されています。ただ し、重い石を転がすには多くの丸太が必要であり、長距離の移動には不向きとさ れています。
2. そりと氷やぬかるみを利用した説
木製のそりに石を載せ、氷やぬかるみの上を滑らせて移動させる方法です。ま た、豚脂などの動物性脂肪を滑走面に塗布することで摩擦を減少させ、移動を容 易にする技術も考案されています。
3. 水路を使った輸送説
川や海を利用して石を輸送する方法です。しかし、実験では筏が沈没するなどの 問題が発生しており、実際の使用には課題があるとされています。
4. 集団による人力説
20人以上の集団で木製のそりを引いて石を移動させる方法です。実験では、10人 が1トンの石を時速約1.6kmで引くことができることが確認されています。また、 A字型の木製フレームを使用して石を持ち上げる技術も考案されています。
なぜストーンヘンジはソールズベリー平野に建てられたのか?
イギリス南部の広い草原、ソールズベリー平野にたたずむストーンヘンジ。
その神秘的な姿に惹かれて世界中から人々が訪れますが、なぜこの場所に建てられたのでしょうか?
実は、まだはっきりとは解明されていません。しかし、いくつかの有力な説があります。
1.儀式に適した地形だったから
ソールズベリー平野は、見晴らしがよく、空や太陽の動きがよく見える開けた場所です。
ストーンヘンジの石の配置は、夏至の日の出や冬至の日没とぴったり一致しており、古代の人々が太陽を大切にしていたことがわかります。
このことから、太陽の動きと結びついた神聖な儀式の場として、この地が選ばれたと考えられています。
2.宗教的・霊的な意味があったから
ストーンヘンジのまわりには、古墳や祭祀の跡など、宗教的な遺跡が多く見つかっています。
それらと同様に、ストーンヘンジも「死者をまつる場所」や「天と地をつなぐ場所」として使われていた可能性があります。
人々の精神的な信仰の中心地だったのかもしれません。
3.巨石の素材を確保しやすかったから
ストーンヘンジに使われている巨石の一部(サーセン石)は、平野の北にある約30km先の丘から運ばれたとされています。
さらに、「ブルーストーン」と呼ばれる石は、なんと約200km離れたウェールズから運ばれたと考えられています。
このように、石の入手と運搬が可能な場所だったことも、この地に建てられた理由のひとつです。
ストーンヘンジは完成していたの?
ストーンヘンジは昔、完成していたと考えられています。
ただし、今はその完成形は残っていません。
では、どう作られたのでしょうか?
ストーンヘンジは一気に作られたわけではなく、何百年もかけて、少しずつ進化するように作られました。ざっくりいうと、建設には3つの時期があったと考えられています。
第1期(紀元前約3100年) 環状の溝(ヘンジ)と穴が掘られる
第2期(紀元前約2900年) 木の柱や青石(ブルーストーン)が設置される
第3期(紀元前約2500年) 巨大な「サーセン石」で、円形のアーチ状の構造を作った。
完成していたと言える理由
・石の並べ方や配置にルールや計画性があった(たとえば夏至の日に太陽がちょうど見える位置)
・周りの穴の位置なども、計算されたように配置されている
・全体の形が対称的で、美しくまとまっていた形跡がある
つまり、「適当に置かれた石の集まり」ではなく、目的をもって作られた完成形があったのです。
今はなぜ壊れているのか
・ 長い時間で石が倒れたり、風雨で削れたりした
・人が持ち去って建材に使ってしまった
・地震や地盤の変化で崩れた部分もある可能性が高い
つまり、今見えるストーンヘンジは、かつての完成形の「残り」だという説が濃厚です。
コメント