「エンジェルフォールに滝壺がないって、本当?」
世界で最も高い落差を誇るエンジェルフォールですが、意外にも地表に見える深い滝壺がほとんど存在しないと言われています。
この記事では、「どうして滝壺がないのか?」という疑問からスタートし、そもそも滝壺とはどんなものなのかわかりやすく説明していきます。
さらに、他の高落差滝との比較を通じて、エンジェルフォールが“普通じゃない理由”を深く掘り下げます。
世界一の滝ならではの、普通でない他とは違う構造の秘密を一緒に探っていきませんか?
エンジェルフォールとは??
先ほども述べましたが、エンジェルフォールという滝は、南アメリカ大陸北部の国ベネズエラにある、世界で最も落差の大きい滝です。
このエンジェルフォールがあるカナイマ国立公園は世界遺産に登録されています。

その落差は979mもあり、東京タワーが約3つ入るほどの大スケールです。
また、この滝は、ディズニー/ピクサー映画「カールじいさんの空飛ぶ家に登場する「パラダイスの滝」のモデルとなっており知名度が高く、世界中の冒険家や自然を愛する旅行者の憧れの地となっています。
エンジェルフォールという名前は、アメリカ人探検飛行家のジミー・エンジェルに由来します。彼はこの滝を紹介し世界的に知らせた人物です。つまり、エンジェルフォールという名前は「天使の滝」という意味で付けられたわけではないのです。
滝壺とは?
滝壺とは、滝の一番下にできる水たまりのことです。滝から落ちてくる水は勢いがとても強く、その強い水の力によって、地面や岩が削られて深くなっていきます。長い時間をかけて岩が削られ、丸くて深い穴のような形になった場所に水がたまり、それが滝壺になります。
では、そんな滝壺ができやすい地形とは、どのような場所なのでしょうか?
固い岩と柔らかい岩が重なっている場所にできやすい!
滝壺は、地層に固い岩と柔らかい岩が重なっている場所にできやすいです。例えば、上の層に玄武岩のような固い岩、下の層に砂岩や泥岩などの柔らかい岩がある場合、水は柔らかい岩を選んで削っていきます。
すると、下の柔らかい岩だけがどんどんけずられて穴のように深くなり、そこに水がたまって滝壺ができます。さらにその部分に小石や砂も巻き込まれると、水の渦と一緒に回転しながら岩を削り続けるため、滝壺はどんどん深く大きくなります。那智の滝や華厳の滝にも大きな滝壺があります。
川の流れが急に落ちる崖や段差のある場所にできやすい!
もう一つ滝壺ができやすいのは、川が急に崖や段差を下る地形です。たとえば、山地や峡谷のような地形では、川の流れが途中で急に落ち込む場所があります。こうした段差で水が一気に落下すると、落下した水が大きなエネルギーを持ち、下の地面や岩に激しくぶつかります。
この激しい衝撃によって、川底が削られて深くなり、滝壺が形成されます。特に断崖絶壁のような急な場所では、滝の高さがある分、水が持つ力も強くなり、より深くて迫力のある滝壺ができやすくなります。
なぜエンジェルフォールに滝壺がないの?
普通の滝には滝壺があるのに、どうしてエンジェルフォールには2つの自然現象の原因があります。
水が霧になる
エンジェルフォールは1,283mと高さがあまりにも高いため、水が下に落ちていく途中で風に吹き飛ばされてしまいます。大量の水が細かい水しぶきや霧へと変化して、その結果下まで勢いのある水が届きません。
つまり、水が勢いよく一気に落ちるのではなく、ふわふわと霧が舞い降りるような感じになります。
地面が削れにくい
滝壺は落下した水が地面に叩きつけられて形成されます。しかし、エンジェルフォールでは先ほど説明したように下まで水が到達する前に水が霧状になるため、地面に大きな力が加わりません。
またエンジェルフォールを流れる水の量はあまり多くない時期もあります。特に乾季である12月から4月ごろには水量がかなり減少してしまうため、地面を削るほどの力がそもそも足りないのです。
まとめ
今回は「エンジェルフォールにはなぜ滝壺がないのか?」について解説しました。エンジェルフォールに滝壺がない理由は以下の通りです。
- 世界一高い979mという圧倒的な高さが大きく関係しています。水が落下する途中で霧状になってしまい、地面に強い衝撃が伝わらないため、一般的な滝に見られるような深い滝壺がほとんど形成されないのです。
- エンジェルフォールは水量が季節によって大きく変化するため、特に乾季には水の勢いが弱まり、地面を削る力が不足してしまいます。
つまり、「高さ」「霧」「水量の少なさ」という3つの要素が重なり、エンジェルフォールには滝壺がほとんど存在しないという、他の滝とは異なる特別な自然現象が生まれているのです。
世界一高い滝であるエンジェルフォールには、まだまだ多くの自然の不思議が隠れています。ぜひこの機会に、エンジェルフォールの魅力とその特別な地形について、さらに興味を持っていただけたら幸いです。
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